「夏の夜、キラキラ光る花火と、それを見上げる友達の笑顔。」
「あの瞬間を、”写ルンです”のあのフィルム感で写真に残せたら、最高にエモいだろうな…」
フィルムカメラがブームの今、そう考えるあなたの気持ち、すごくよく分かります。
でも、同時にこんな不安もよぎりますよね。
「暗い場所だし、フラッシュをたいても遠いし、本当にちゃんと写るの…?」
この記事では、そんなあなたの純粋な疑問と不安に、どこよりも正直にお答えします。そして、“写ルンです”だからこそ撮れる、誰の真似でもない、あなただけの夏の思い出を残すための完全ガイドをお届けします。
【衝撃の事実】なぜ「写ルンです」で打ち上げ花火そのものは撮れないのか?
まず、一番大事な結論からお伝えします。
「写ルンです」で、夜空に咲く打ち上げ花火”そのもの”を、クッキリ綺麗に撮ることは、ほぼ不可能に近いです。
「え、そうなの…?」とがっかりする前に、その理由を簡単に知っておきましょう。これを知るだけで、大きな失敗を防げます。
理由①:レンズが暗すぎる!夜空の花火の光を、ほとんど取り込めない
「写ルンです」のレンズの明るさを示す「F値」はF10。これは、カメラのレンズとしては「かなり暗い」部類に入ります。暗いレンズは、夜のわずかな光を取り込むのが苦手なため、遠くの暗い空に咲く花火の光を、フィルムに焼き付けることが難しいのです。
理由②:シャッタースピードが速すぎる!光の軌跡を描けない
よく見る花火の写真は、シャッターを数秒間開けっ放しにして、光の軌跡を捉えています。しかし、「写ルンです」のシャッタースピードは1/140秒という速さで固定されています。これでは、花火の美しい光の線を描くことはできず、ただの光の点として写ってしまいます。
【結論】夜空に咲く花火だけを撮ろうとすると、ほぼ真っ暗な写真になる
以上の理由から、遠くの打ち上げ花火だけを狙ってシャッターを切っても、現像してみたら「ほとんど真っ暗で、何が写っているか分からない…」という悲しい結果になる可能性が非常に高いのです。
【発想の大転換】主役は花火じゃない!「花火のあるエモい風景」を撮ろう
でも、ここで諦めるのはまだ早い!むしろ、ここからが本番です。
写ルンですの本当の魅力は、完璧じゃない「味」と「空気感」
そもそも、「写ルンです」の魅力は、デジタルカメラのような完璧な綺麗さではありません。少しざらついた粒子感、独特の色味、そして思い通りにならない偶発性。その完璧じゃない「味」こそが、”エモい”空気感を生み出します。
あなたが本当に撮るべきは「花火に照らされた友達の横顔」だ!
そうです。主役を「花火」から「花火を楽しんでいる人」に変えるのです。花火に照らされた友達の横顔、キラキラした瞳、そして背景にぼんやりと写るカラフルな光。これこそが、スマホや高級なデジカメでは撮れない、「写ルンです」でしか切り取れない、最高の夏の思い出になるのです。
【実践テクニック】エモい夏の夜を切り取るための撮影術
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか?魔法のステップは3つです。
STEP1【フラッシュONが絶対条件!】主役の友達は「1~3m」の距離に配置する
夜の撮影で、フラッシュはあなたの唯一の生命線です。「写ルンです」のフラッシュが有効なのは、約1mから3mの範囲。撮りたい友達を、必ずこの距離の中に配置してください。これが、成功と失敗を分ける最大のポイントです。
STEP2【背景を意識!】大きな花火が空に広がる瞬間を狙ってシャッターを切る
友達との距離を保ちつつ、背景の空に注目。大きな花火がバーン!と開いた、空が一番明るくなった瞬間を狙ってシャッターを切りましょう。そうすることで、フラッシュで照らされた友達と、背景のカラフルな花火の光の両方を、一枚の写真に収めることができます。
STEP3【手持ち花火はチャンス!】火花の光で顔を照らして撮ってみる
線香花火やスパークラーなどの手持ち花火は、絶好のシャッターチャンス。花火の火花が、友達の顔を自然な光で照らしてくれます。この時も、忘れずにフラッシュをたきましょう。火花の光とフラッシュの光が合わさって、ノスタルジックな雰囲気の写真が撮れます。
【シーン別】打ち上げ花火と手持ち花火、それぞれの攻略法
打ち上げ花火編:「花火と人物」をバランス良く写す構図のアイデア
- 花火を見上げる横顔を撮る: 定番ですが、最もエモい構図。少し下から煽るように撮ると、空の広がりも表現できます。
- 人物を真ん中から少しズラす: 人物を画面の右か左に寄せると、背景の花火がよく見えて、お洒落な構図になります。
- 後ろ姿を撮る: 浴衣の後ろ姿と、遠くの花火。物語を感じさせる一枚になります。
手持ち花火編:フラッシュを使わず「エモいシルエット」を狙う上級テクニック
あえてフラッシュを使わず、手持ち花火の光だけを頼りに撮る方法もあります。人物は真っ黒な「シルエット」になりますが、背景の暗闇に火花だけが浮かび上がり、非常に印象的な写真になります。カメラをしっかり固定し、息を止めてシャッターを切るのがコツです。
【失敗回避】写ルンです初心者がやりがちな「真っ暗写真」からの卒業
これだけは絶対にやめて!よくある失敗例とその対策です。
NG行動①:フラッシュを使わずに、遠くの夜景や打ち上げ花火を撮ってしまう
これが最大の失敗原因です。夜の屋外で、フラッシュなしで写るのは、ネオン街のような非常に明るい場所だけ。「暗いな」と思ったら、何も考えずにフラッシュをONにしましょう。
NG行動②:フラッシュが届かない、5m以上離れた人物を撮ろうとする
「フラッシュをたいたのに、人が真っ暗…」それは、被写体との距離が遠すぎるからです。フラッシュの光は、3m以上離れると急激に弱くなります。撮りたい人には、自分で近づく。これが鉄則です。
NG行動③:暗いからとカメラをしっかり固定せず、手ブレしてしまう
暗い場所での撮影は、少しの動きでも手ブレの原因になります。シャッターボタンを押すときは、脇をしっかり締めてカメラを固定し、息を止めるようなイメージで、ゆっくりと押し込みましょう。
【現像の裏ワザ】撮った後の「最後の一押し」で差をつける
現像店で「夜の写真が多いので、明るめに仕上げてください」と伝える魔法の言葉
撮り終わった「写ルンです」を現像に出す時、お店の人にこの一言を伝えてみてください。「夜に撮った写真が多いので、全体的に少し明るめに補正してもらえますか?」と。そうすると、真っ暗で潰れてしまいそうな部分も、お店の人がうまく調整して、見やすい明るさにしてくれることがあります。
データ化は必須!スマホアプリでさらにフィルム感を追加する方法
現像する際は、必ず「CDデータ化」もお願いしましょう。スマホに写真を取り込めば、SNSでシェアできるだけでなく、「VSCO」や「Lightroom」などのアプリでさらに編集が可能です。粒子(グレイン)を追加したり、色味を調整したりして、自分だけのフィルム感を追求するのも楽しいですよ。
よくある質問(FAQ)
Q. それでも打ち上げ花火を撮ったら、本当に何も写りませんか?
A. 可能性はゼロではありません。非常に大きな花火が、低い位置で、連続して明るく光った場合など、奇跡的に光の点が写ることもあります。しかし、それは「狙って撮れる」ものではなく、ほとんどが真っ暗になることを覚悟の上で試す、宝くじのようなものだと考えてください。
Q. フラッシュを使えば、5mくらい離れた人も撮れますか?
A. 難しいです。「写ルンです」のフラッシュの光量はそれほど強くありません。説明書にも有効範囲は「1m~3m」と記載されています。5m離れると、背景と同じように暗く写ってしまう可能性が高いです。
Q. 「写ルンです シンプルエース」と「1600 Hi-Speed」どっちが花火向き?
A. 感度が高い(光を感じやすい)「1600 Hi-Speed」の方が、夜間撮影には少しだけ有利です。暗い場所での失敗の確率を少しでも下げたいなら、こちらを選ぶと良いでしょう。ただし、基本的な撮り方や、花火そのものが写りにくいという事実は変わりません。
まとめ:写ルンですは花火を撮るカメラじゃない。最高の夏の思い出を撮るカメラだ
「写ルンです」は、夜空に咲く花火を標本のように美しく記録するためのカメラではありません。
それは、花火の光に照らされた、二度と戻らないその瞬間の友達の笑顔、その場の空気、ざわめき、そして楽しかったという感情そのものを、一枚の写真に閉じ込めるための、最高のタイムカプセルです。
完璧な写真を撮ろうなんて、思わなくて大丈夫。
この記事で紹介したコツを少しだけ頭の隅に入れて、あとは思いっきり、その場の「今」を楽しんでください。そうすれば、現像から返ってきた写真には、きっとあなたの想像を超える、最高にエモい夏の思い出が写っているはずですから。

コメント